草履の選び方について

和装初心者の方は、草履を購入するときに「どんな草履を選べばよいか分からない!」と悩んでしまうことが多いのではないでしょうか。
靴選びとは少し違う草履選び。デザインの特徴やサイズの選び方まで、詳しくお伝えします。

草履と下駄の使い分け

和装の履物は、草履以外にも下駄や雪駄があります。いずれも花緒を足の親指と人差し指の間に通して履く履物という点で共通していますが、素材や形状が少しずつ違います。

・草履……革製、底が平面
・下駄……木製 底に歯がある
・雪駄……竹皮草履の裏に革を張ったもの、草履の一種

一般的に、下駄は近所に買い物に行く、散歩をする際など日常で使う履物。草履は外出用・おしゃれ用として用いられています。

草履の色選び

草履の色選び

草履の色はとてもカラフルです。花緒と台の色が違い目で見て楽しめるもののほか、台と花緒が同じ色でシンプルなものがあります。
礼装用として用いられるのは、白、金、銀などの色で、花緒と台が同じ色の下駄です。結婚式や式典で履くのであれば、これらの一色で作られた草履を選びましょう。
花緒と台の色が違う草履はおしゃれ要素が強いものとなります。食事やお茶の席などのお出かけの際に用いるのが良いでしょう。
セミフォーマルで使いやすいのが、淡い色合いのベージュやグレーの草履です。どちらも着物の色を選ばないので合わせやすく、1つ持っていると重宝します。
何を買おうか迷ったら、手持ちの着物の色を考慮した上で、淡いベージュかグレーの、花緒と台が同じ色の草履を選ぶと良いでしょう。

草履の通しに注目

草履の通しに注目

草履の台の下の部分を通しと呼びますが、この通しが重ねてあると、よりフォーマル度が高い草履となります。
草履を横から見ると、通しが1枚だけのもののほか、横にラインが入り、何枚かの台を重ねた形状の草履があることに気づきます。また、半分の大きさの台がかかとの部分に入り、ハイヒールのようにかかと部分だけ高くなるように作られた草履もあります。
通しが1つだけなら一枚芯、2枚重ねてあれば二枚芯と呼びます。半分の長さの通しは半月と呼び、半月を使う場合は、通し2枚の間に半月を入れたデザインが多く見られます。この場合、半月と通しで色や柄を変え変化をつけていることが多く、よりおしゃれ度が高くなります。
台は薄いとおしゃれで粋、高いとフォーマルな印象があります。通しが3枚ある三枚芯は台も高めとなるためフォーマル用として用いられることが多く、値段も高めです。一方シンプルな作りの一枚芯は比較的求めやすい値段で購入できます。
三枚芯はフォーマルな場面で着用することを想定して作られていますが、お出かけやお食事などの席で着用しても不自然ではありません。「1つの草履を使いまわしたい」という場合は、最初から三枚芯を購入すると良いでしょう。

草履のサイズ選び

草履の通しに注目

草履の「ちょうど良いサイズ」は、履いたときにかかとが少しはみ出す大きさです。
このはみだし具合は1cm〜1.5cmくらいが美しいとされています。
けれど草履を履きなれていない人は、はみ出してかかとの縁に当たる部分が「痛い」と感じたり、違和感があったりするかもしれません。
また、靴に慣れている多くの人からすれば、かかとがはみ出している姿は少し不思議に感じるのではないでしょうか。
これにはきちんと理由があります。
和装(特に礼装)では、着物の裾がかかととほぼ同じ高さとなるように着付けますが、この状態で歩くと、着物の裾をかかとで踏んでしまう可能性があるのです。草履を履いているときに踏んでしまうと、着物の裾がかかとと草履の間に入ってしまい、着崩れる原因となってしまいます。
ところが、草履からかかとが少しはみ出していれば、歩いてる最中に自分の着物の裾を踏んだり、草履とかかとの間に巻き込んでしまったりということはほぼありません。
着崩れず、綺麗な状態で長時間着物を着ることができるのです。
また草履の構造上、足のつま先側に重心が乗るため、慣れてくれば「かかとが痛くてつらい」ということはなくなります。