草履本舗で所蔵しているアンティーク草履について
今回は、草履本舗で所蔵している、アンティークものの草履をご紹介いたします。
手古舞草履
毎年5月半ばに開催される浅草神社例大祭※。その初日の午後、祭りの口火を切るのが、大行列です。観音裏に集合して雷門を通って浅草へ向かう、その中に、凛々しくもあでやかな「手古舞」の衣装に身を包んだ芸者さんたちの姿が見られます。
彼女らの足元は、もちろん「手古舞草履」。
江戸時代には「てこ」とも呼ばれていた鳶職は、祭りでは山車を組み立て、また、木遣りをうたいながら警護をするのが仕事でした。そんな「てこまえ」と呼ばれた鳶職の格好を真似て、芸者や氏子町の娘たちが山車の引き回しに付き添ったのが、「手古舞」の起源だそうです。
手古舞草履は、鳶職が履いた草履らしく、撚った紐できりりと足に結わえます。幾重にも重ねた履面は祭りにふさわしく重厚で、丈夫で動きやすく、足に添う形となっています。
※浅草神社奉賛会三社祭公式情報ページ
http://www.sanjasama.jp/detail170519daigyo.html
※浅草神社ホームページ
http://www.asakusajinja.jp/sanjamatsuri/
【補足映像】
東京時代まつり[7](2013-11-03・浅草・手古舞と本旗)
※三社祭当日ではありませんが、手古舞の姿と草履の様子が一番明瞭です。
2012年三社祭浅草神社神楽殿浅草組合奉納舞踊芸者幇間
※三社祭当日の手古舞の舞台ですが、足元は映っておりません。
第46回 東京都民俗芸能大会 ―江戸前の芸能― 手古舞(ダイジェスト版)
※芸能大会での舞台の撮影のため、手古舞の様子は一番明瞭ですが、手古舞草履は履いていないようです。
空気草履
みずみずしい感性によって知られる尾崎翠は、大正時代に活躍した作家です。
そんな彼女の作品の一編が、「空気草履」。
街で見かけた空気草履に心惹かれる少女は、美しい女の人がその空気草履を履いている姿を夢に見ます。目覚めた後、祖父に頼まれたお使いの先で出会ったのは・・・。
「千代田草履」と呼ばれていたこの空気草履は、尾崎翠の短編にも描かれている通り、女性や子供にも人気があったようです。女性の草履の踵が高くなったもとは、この空気草履だったとも言われています。
写真のものは、しっかりとした男性的な作りですので、むしろ永井荷風の「日和下駄」の雰囲気に近いかもしれません。
『空気草履』/尾崎翠/「尾崎翠 集成(下)」より
『日和下駄』/永井荷風/「荷風随筆集(上)」
※青空文庫
麻裏草履
大工の棟梁履(江戸時代)に該当します。
草履の裏に三つ編みにした麻を縫い付け、補強と滑り止めを兼ねた草履。江戸の大工や、鳶、左官などの職の人が履いていたそうです。
現在、作業服専門のお店などで売っている麻裏草履には、表は藁、裏は廃棄タイヤなどを使った、タイヤ底のものもあるようです。
三筋緒縁取の女草履
通常は、ふっくらと一本ですげる鼻緒。
その一本のところを、細く断った生地を三段に重ねてすげたのが、三筋緒重ねの鼻緒です。
現在は、三石鼻緒の名前で親しまれているこの鼻緒。繊細さと華やかさを感じさせてくれるため、婚礼の際に使われたそう。
めでたいことが重なるという、縁起担ぎでもあったかもしれませんね。
複草履
表と同じように裏も編まれた高級感のある草履。
敷島草履
大正時代のものらしくハイカラな印象のある草履。
貸出もしております
このように草履本舗では、古今の様々な草履を蔵しています。
なお、掲載いたしました草履につきましては、お求めいただくことができます。
また、映画やテレビ、コマーシャル等の撮影にご使用される、履物の貸出や衣装協力も承っております。(貸出・協力の際には、店名クレジットの掲載および当サイトでのご紹介をお願いしております)
気になる一品がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。