雪駄と草履の違いから、選び方にお手入れの方法まで
雪駄は草履の改良品!?
雪駄と草履の区別がつかないよ〜!というお声をよく耳にします。簡単に言いますと、『雪駄は草履の一部』です。
草履はその名前の通り、い草を編んで作られます。軽くて扱いやすいのが特徴ですが、冬場に雪が積もる地域ですと、どうしても水がしみ込んでしまいます。
一方で下駄は、歯の間に雪が挟まってしまい、やはり雪道には不向きと言われています。
そんな時に作られた雪道用の『改良草履』が雪駄というわけです。
雪駄の特徴として、裏面に革が張ってあります。これは雪道や雨天時に、水がしみ込むのを防ぐ役割を果たしています。
もう一つ特徴的なのが、踵の鋲です。踵の部分に鋲や後金と呼ばれる金属をつけることで、歩いたときにカチカチと音がします。
これは江戸時代の同心たちが、盗人を追いかけた際に、今でいうパトカーのサイレン音を果たしていたと言います。
現代でもお祭りなどで、この音が粋や風流を感じさせると言われて、好まれています。
異なる見分け方として、横から見たときの厚みの違いもあります。
草履は強度を増すために、重ね芯(表側と裏側の間に挟む芯)が多く使われます。
雪駄は裏面に革を張るので、そこまで分厚くする必要がありません。重ね芯が1の3(通し芯1枚、半月2枚)以下のものを、雪駄と呼びます。
雪駄の歴史は千利休にあり
千利休と言えば、織田信長にも仕えたことで有名な茶人です。
ある時、千利休が庭で水遣りをしていた際に、転倒してケガをしてしまいました。
信長が南蛮渡来の「靴を履くように」と命じても、利休は頑なに断ったと言います。
そこで信長は、草履に革製の踵を合わせ、さらに鋲をつけて滑らないようにして利休に履かせたと言います。
草履と靴の良いところ取りをして誕生したのが、雪駄ということですね。
(※雪駄の起源については、利休が作った説、利休友人のノ貫(へちかん)が作った説、または東北地方で生まれた説など、この他にも諸説あります。)
お茶の神様とも呼ばれた千利休がその後長く愛用したことで、お茶会の際には今でも雪駄が用いられます。
雪駄の語源
雪駄は、草履の裏面に革を張ったものを指します。
古くは『席駄(せきだ)』と書いたと言います。席=筵や竹で編んだもの、駄=履き物、の意味の合成語だったようです。
これが時代の流れとともに、せきだ→せちだ→せっだ→せった…と変化していったという説が有力です。
現代の「雪駄」は音に漢字を当てはめたものですが、雪の日に履く履き物の意味も表しており、風流ですよね。
さらに現代では、雨や雪をより防ぐために、つま先がゴム樹脂で覆われたものもありますよ。
つけ外しのできる雨用カバーもあるので、大切な雪駄を守るためには、一つ持っておくと便利です。
雪駄の選び方
雪駄を着用される場合には、足袋を履くことになりますので、足袋の色とセットで選ぶのが良いです。
今は鼻緒も足袋もオシャレな柄物が数多くありますが、両方が柄物だと主張が強くなり過ぎてしまいますよね?
(和装だからと身構えず、そのあたりは洋装と同じような感覚で捉えて大丈夫です!)
どちらかが柄物ならば、もう一方は同系色の無地にすることで、粋な装いとなります。全くの同じ色を用いるよりも、濃度を替えることで、より洗練されて見えますよ。
定番の白足袋も人気が高いので、その場合は雪駄の色は自由に決めることができますね。
雪駄のサイズは、普段履いている靴よりも1〜1.5cmほど小さ目のものを選ぶと良いとされています。
これは履き方として、「踵が少し出る方が格好いい」という習わしがあるからです。
ただし、あまりにも小さいものですと、長時間履いていて足が疲れてしまいますので、ほどほどになさってください。
普段あまり雪駄や草履を履く機会がなく、踵が出ることに違和感があるという方は、ジャストサイズのものを選んでも良いと思います。
雪駄のお手入れ方法
雪駄の日頃からのお手入れは、まず風通しの良い場所に置いてあげることが一番です。
裏向きにおいて、直射日光が当たらないように気をつけましょう。風のない日には、扇風機やクーラーの風でも大丈夫です。
長く押入れなどに収納しておくと、どうしても湿気からカビが生えてしまいます。時々乾燥させることで、雪駄の寿命が長持ちしますよ。
万が一、カビが生えてしまった場合には、柔らかい布で優しく拭き取ってあげてください。力強くこすり過ぎては、雪駄を痛めてしまいます
汚れが酷い場合には水洗いが必要ですが、この際にも洗うことよりも「よく乾かす」ことを重視してください。
お手軽雪駄について
巷には、3,000円程度から購入できる格安の雪駄もございます。果たして、品質はどのようなものなのでしょうか?
はきものや 草履本舗では、品質にこだわった選りすぐりの商品だけをお客様の元にお届けできるよう、日々精進を重ねております。
「おしゃれは足元から」の言葉通り、本当に良いものを多くの方々に知って頂きたいのです。
2020年の東京オリンピックを間近に控えた今、日本の伝統文化は、国内のみならず海外からも大きな注目を集めています。
そうした中で、一人でも多くの方が「本物」に触れていけるよう、我々はこれからも力を尽くしていきます。
当店のお手軽雪駄についての解説⇒http://www.zourihonpo.com/?tid=8&mode=f27
今後とも、はきものや 草履本舗をどうぞよろしくお願い申し上げます。